「iPhone8の次はiPhone9じゃないの?」と思った人は多いはずです。
実際、Appleは2017年にiPhone8を発売した後、次のモデルを「iPhone X(テン)」と名付けました。「9」はどこにも存在しません。
この「謎の欠番」は、発売当時から多くのユーザーを驚かせ、今もなお「なぜ?」という疑問を生み続けています。
この記事では、iPhone9が存在しない理由を文化的背景・数秘術・IT業界の慣習・iPhoneSE2との関係という4つの角度から徹底的に解説します。「なんとなく気になっていた」という疑問が、この記事を読み終える頃にはすっきり整理されているはずです。
iPhone9は存在しない?ナンバリングの「謎」を知っていますか

まず事実を整理しましょう。AppleのiPhoneナンバリングには、確かに「9」が存在しません。これは見落としや誤植ではなく、意図的な飛び番です。
iPhoneの歴代ナンバリングを振り返る
iPhoneのモデル名を時系列で並べると、次のようになります。
| 発売年 | モデル名 |
|---|---|
| 2007年 | iPhone(初代) |
| 2008年 | iPhone 3G |
| 2009年 | iPhone 3GS |
| 2010年 | iPhone 4 |
| 2011年 | iPhone 4S |
| 2012年 | iPhone 5 |
| 2013年 | iPhone 5s / 5c |
| 2014年 | iPhone 6 / 6 Plus |
| 2015年 | iPhone 6s / 6s Plus |
| 2016年 | iPhone 7 / 7 Plus |
| 2017年 | iPhone 8 / 8 Plus / iPhone X |
| 2018年 | iPhone XS / XR |
「4→5→6→7→8」と続いてきた数字が、2017年に突然「X(10)」へジャンプしています。「9」だけが、きれいに抜けています。
iPhone8の次がiPhone Xになった経緯
2017年はiPhone誕生10周年という節目の年でした。Appleはこの年、通常ラインのiPhone8・8 Plusに加え、記念モデルとして「iPhone X」を同時発売しました。
「X」はアルファベットのエックスではなく、ローマ数字の10を意味します。10周年を象徴する特別なモデルとして、番号を一気に飛ばす決断をしたわけです。
この発表を受け、多くのメディアや技術者が「なぜ9を飛ばしたのか」という議論を始めました。Appleからの公式な説明はなく、それがさまざまな憶測や都市伝説を生む土壌になりました。
「9」だけが抜けている事実とユーザーの反応
発表直後、SNSでは「iPhone9はどこに消えた?」という投稿が相次ぎました。日本でもトレンド入りし、「存在しないiPhone9」という概念自体が一種のミームとして広まりました。
「9を使うと縁起が悪い」「Appleが意図的に避けた」「実はiPhoneSE2がiPhone9だった」など、さまざまな説が登場。それぞれに一定の根拠があり、今も語り継がれています。
iPhone9が発売されなかった理由①「9」にまつわる文化的・迷信的背景

まず「9という数字そのものに問題があるのでは?」という視点から見ていきます。
日本の「4」と同じ?世界で忌避される数字「9」
日本では「4(し)」が「死」に通じるとして、病院の病室番号や建物の4階表記を避ける慣習があります。これと同様に、世界には文化的・言語的に忌避される数字が存在します。
諸外国における9の不吉な意味と文化的背景
「9」が特に問題視されるのは、中国語圏・韓国語圏です。
- 中国語:「9(jiǔ)」は「久(jiǔ)」と同じ発音で「長続きする」という意味を持つため、実は縁起が良いとされることもあります。ただし文脈によって異なり、統一された解釈はありません。
- 韓国語:「9(gu)」は「苦(gu)」=苦しみに通じるとして、避けられる場面があります。
- 日本語:「9(く)」は「苦」に通じるとして、古くから縁起の悪い数字とされてきました。
Appleはアジア市場、特に中国市場を非常に重視しています。中国はiPhoneの最大市場のひとつであり、ブランディングにおいて文化的感受性を無視することはできません。
ただし、これがiPhone9を避けた直接的な公式理由であるという証拠はなく、あくまでも有力な考察のひとつです。
数秘術が示す「9=完成・終わり」の意味
文化的背景とは別に、数秘術( numerology)の観点からも「9」を避ける理由が語られています。
数秘術とは、数字に象徴的な意味を見出す思想体系です。西洋の数秘術において、1〜9の数字にはそれぞれ固有の意味があります。
完成してしまったものは衰退するしかない?という考え方
数秘術では、「9」は完成・完結・終わりを象徴する数字とされています。1から始まったサイクルが9で完了し、次の10(1+0=1)で新たなサイクルが始まる、という考え方です。
つまり、「iPhone9」という名称をつけることは、iPhoneというブランドのサイクルが完結したと宣言することになりかねない。そう解釈する人々にとっては、縁起の悪い命名に映るわけです。
日光東照宮・陽明門の「未完成の柱」との共通点
この考え方と非常に似た思想は、日本にも存在します。
日光東照宮の陽明門には、意図的に未完成のまま残された逆柱があります。「完成すると崩壊が始まる」という信仰から、わざと一本だけ模様を逆さにして「未完成」の状態にしたとされています。
「9=完成」を避けるという発想は、こうした「完成を恐れる」普遍的な人間心理と通じるものがあります。Apple自身がこの思想を採用したかどうかは不明ですが、文化的な共鳴として興味深い視点です。
iPhone9が発売されなかった理由②IT業界に広がる「9飛ばし」の慣習

実は、「9を飛ばす」という行動はAppleだけではありません。IT業界には、同様のナンバリング飛ばしの事例が複数存在します。
WindowsもOS9を飛ばしてWindows10になった
最もよく知られた事例が、Microsoftのウィンドウズです。
Windowsのバージョン履歴を見ると:
- Windows 7(2009年)
- Windows 8 / 8.1(2012〜2013年)
- Windows 10(2015年)←「9」が存在しない
- Windows 11(2021年)
Microsoftは「Windows 9」を発売せず、直接Windows 10に進みました。公式の説明として挙げられたのは、「Windows 9x」というレガシーコードとの混同を避けるためという技術的理由でした。古いソフトウェアが「Windows 9」という文字列を検出した際に、Windows 95や98と誤認識するリスクがあったというものです。
Appleがこれと同様の技術的判断をしたかどうかは不明ですが、IT業界における製品ナンバリングの戦略的判断として、非常に参考になる事例です。
Apple以外でも見られる「9」回避の傾向
IT・ゲーム業界では他にも「9飛ばし」に近い事例があります。
- PlayStation:PS1→PS2→PS3→PS4→PS5と続き、9は登場しない(ただしこれはまだ現役進行中)
- 各種ソフトウェアのバージョン管理:内部バージョンと外部表示番号を意図的にズラすケースは珍しくない
数字の「見た目」や「印象」は、消費者の購買心理に影響を与えます。この事実はマーケターの間では広く認識されています。
製品ナンバリング戦略とブランドイメージの関係
製品名・バージョン番号は単なる識別子ではありません。ブランドの物語を伝えるコミュニケーションツールでもあります。
数字が持つ心理的影響とマーケティングへの応用
マーケティング心理学の観点から見ると、数字には次のような印象の違いがあります。
| 数字 | 一般的な心理的印象 |
|---|---|
| 8 | 安定・繁栄(中国文化圏では特に吉数) |
| 9 | 終わり・苦・完結 |
| 10 / X | 節目・完全・新しいステージ |
Appleは2017年の発表で、iPhone Xを単なる新製品としてではなく「iPhoneの未来」として位置づけました。「X」という記号は、10周年という事実と「未知の可能性」を同時に表現する、非常に巧みな命名でした。
「9」をつけてしまうと、この「新しい時代への跳躍」という物語が成立しなくなります。ブランドの文脈から見ると、9飛ばしは必然だったとも言えます。
iPhone9として発売される予定だったiPhoneSE2の真相
実は、「iPhone9」という名称が実際に使われる可能性がありました。それがiPhoneSE第2世代(通称iPhoneSE2)をめぐるリーク情報です。
2020年春に浮上した「iPhone9」名称採用の噂とリーク情報
2020年初頭、複数の海外テックメディアが「Appleが廉価版iPhoneを『iPhone9』の名称で発売する」という情報を報じました。
リーク情報によると:
- 外観はiPhone8に近いデザイン
- ホームボタン搭載・Touch ID対応
- チップはA13 Bionic(当時最新)
- 価格は399ドル〜という廉価設定
- 名称は「iPhone9」になるという情報が複数ソースから出ていた
この情報はiPhone関連の専門メディアでも広く取り上げられ、発売を楽しみにしていたユーザーも多くいました。
iPhoneSE2の発売が「出る出る詐欺」と呼ばれた背景
実は、iPhoneSE第2世代の噂は2018年頃から繰り返し浮上しては消えていました。
- 2018年:「年内発売か」という報道→発売されず
- 2019年:「春に発売」という報道→発売されず
- 2020年:「iPhone9として発売」という報道→結果的に名称が変わって発売
この繰り返しにより、「出る出る詐欺」という揶揄が定着しました。ユーザーの期待が何度も裏切られた結果、発売直前まで半信半疑のムードが漂っていたのです。
実際に発売されたiPhone SE第2世代との比較
2020年4月、Appleはついに正式発表を行いました。しかし製品名は「iPhone9」ではありませんでした。
| 項目 | リーク情報(iPhone9) | 実際の製品(iPhone SE 第2世代) |
|---|---|---|
| 製品名 | iPhone 9 | iPhone SE(第2世代) |
| デザイン | iPhone8ベース | iPhone8ベース ✓ |
| チップ | A13 Bionic | A13 Bionic ✓ |
| ホームボタン | あり | あり ✓ |
| 価格(米国) | 399ドル〜 | 399ドル〜 ✓ |
スペックはほぼリーク通りでした。唯一外れたのが「名称」だけだったのです。
名称はiPhone9にならなかった理由と正式発表の内容
なぜ「iPhone9」ではなく「iPhone SE(第2世代)」になったのか。Appleは公式には理由を述べていませんが、業界では次のような見方が有力です。
- SEブランドの継続性:2016年に発売された初代iPhone SEには根強いファンがいた。そのブランドを復活させる方が訴求力があると判断した可能性が高い
- ナンバリングの整合性:iPhone Xシリーズ以降は数字を「11→12→13」と継続しており、ここに「9」を差し込むと混乱を招く
- 廉価版の位置づけを明確化:「SE」という名称はメインラインとの差別化を明確にする役割も果たしている
iPhoneSE第2世代の詳細スペックや購入判断については、専門的なレビュー記事も参考になります。
iPhone9をめぐる都市伝説が示すAppleブランドへの関心の高さ
「存在しない製品」についての議論が何年も続く。これ自体が、Appleというブランドの特異な強さを示しています。
都市伝説が生まれるほどiPhoneが注目される理由
iPhone9の都市伝説が広まった背景には、Appleに対するユーザーの強い関心と信頼があります。
「なぜ9を飛ばしたのか」という疑問は、逆に言えば「Appleの決断には必ず深い意味があるはずだ」という期待の裏返しです。普通のメーカーがナンバリングを変えても、ここまで話題になることはないでしょう。
また、Appleは製品発表において意図的に情報を秘匿し、発表直前まで詳細を明かさない戦略を取ります。この「謎めいたブランド戦略」が、都市伝説の温床になっているとも言えます。
スマホの選び方や各機種の比較について詳しく知りたい方は、characterland.jpのトップページもあわせてご覧ください。
今後のiPhoneナンバリングはどうなる?最新トレンドと予測
iPhone Xの後、Appleのナンバリングは以下のように推移しています。
| 発売年 | モデル名 |
|---|---|
| 2018年 | iPhone XS / XS Max / XR |
| 2019年 | iPhone 11 / Pro / Pro Max |
| 2020年 | iPhone 12シリーズ |
| 2021年 | iPhone 13シリーズ |
| 2022年 | iPhone 14シリーズ |
| 2023年 | iPhone 15シリーズ |
| 2024年 | iPhone 16シリーズ |
現在は順当に数字が進んでいますが、注目すべき点がいくつかあります。
- 「13」の扱い:西洋では不吉とされる13を、Appleはそのまま使用。文化的忌避より一貫性を優先した判断とも読めます
- SEラインの独立:メインナンバーとは別に「SE」という廉価ラインを維持しており、ナンバリング体系が二系統になっています
- 将来的な変更の可能性:Appleが再びナンバリングを変更する可能性はゼロではありません。特に大きな技術的転換点(折りたたみiPhone、ARデバイス統合など)があれば、名称戦略が変わる可能性があります
iPhoneの修理・サポートや各機種の違いについても、信頼できる情報をもとに判断することをおすすめします。
※この記事におけるナンバリング戦略の意図やAppleの内部判断については、公式発表に基づかない考察・分析を含みます。確定情報ではありませんので、最新情報はApple公式サイトでご確認ください。
まとめ:iPhone9が存在しない理由は、ひとつではない
「iPhone9はなぜ発売されなかったのか」という問いに対する答えは、実は一つではありません。複数の要因が重なり合って、「9」という番号が使われなかったと考えるのが自然です。
| 理由 | 概要 |
|---|---|
| 10周年の演出 | iPhone誕生10年を「X」で象徴したかった |
| 文化的背景 | 「9(く)=苦」という忌避感がアジア市場に存在する |
| 数秘術的意味 | 9=完成・終わりを暗示するため避けた可能性 |
| 業界の慣習 | WindowsなどIT業界でも「9飛ばし」の事例あり |
| ブランド戦略 | 「未来への跳躍」を表現するためにXが最適だった |
| SE2との関係 | iPhone9になる予定だった製品がSE第2世代として発売 |
「なんとなく気になっていた疑問」の裏には、文化・心理・マーケティング・テクノロジーが複雑に絡み合っていました。
Appleの一見シンプルな製品名のひとつひとつに、これだけ深い文脈があることを知ると、次のiPhone発表がもう少し違って見えてくるかもしれません。

